病院の接遇と声
病院の接遇研修に「声」を足すと、受付・説明・電話の3つの場面が変わります
言葉づかいもお辞儀も研修で整えたのに、ご意見箱に「受付の人が冷たい」「説明が早くて分からなかった」と書かれる。病院の研修担当の方から、こうしたお悩みがよく聞かれます。理由の多くは、言葉の中身ではなく「声」にあります。
結論:病院の接遇研修に「声」を足すと、次の3つの場面が変わります。
- 受付:最初の一言を「少し低く・ゆっくり」にすると、待っている患者さんの緊張がほどけやすくなります。
- 説明:一文を短く切り、大事な言葉の前に1秒の間を置くと、聞き返しが減ります。
- 電話:口角を上げたまま、語尾を下げて言い切ると、顔が見えなくても「ちゃんと聞いてもらえた」と伝わります。
どれも特別な道具はいらず、50分の研修で全員が同じ練習を持ち帰れます。
接遇研修をしても「冷たい」と言われるのはなぜか
同じ「お名前をお呼びするまでお待ちください」でも、高く速い声で言うと急かされているように聞こえ、少し低くゆっくり言うと落ち着いて聞こえます。体調が悪く不安な患者さんほど、言葉の意味より先に声の調子を受け取ります。
ボイストレーナーとして30年、延べ5万人以上の声を見てきた講師の経験では、病院での研修でも、変わるのはいつも「何を言うか」より「どう聞こえるか」です。病院で特に差が出る3つの場面を、そのまま院内で使える練習と一緒にお伝えします。
場面1 受付:最初の一言で、待ち時間の感じ方が変わる
よくある声
- 混んでいる時間ほど声が高く、速くなる
- 語尾が上がって(「〜ですかぁ↗」)、確認なのか質問なのか分かりにくい
- マスク越しで子音がこもり、名前の呼び出しが聞き取りにくい
直したあとの声
- 最初の一言(「おはようございます」「こんにちは」)だけ、いつもより少し低く、半分の速さで言う
- 名前を呼ぶときは、苗字の最初の音をはっきり立て、「さま」の後に1秒待つ
- 確認は語尾を下げて言い切る(「保険証をお預かりします↘」)
1分の練習(全員で・立ったままで)
- 鼻から3秒吸って、6秒で「ふー」と吐く(2回)。高く速くなるのは、息が浅いときです。
- 「おはようございます」を、いつもの声→少し低い声→もう少し低い声の3段で言い、いちばん楽に出る高さを決める。
- 隣の人の苗字を、最初の音を立てて呼ぶ(「タ・ナカさま」)。マスクを着けたまま行う。
場面2 説明:診察の前後・検査・会計の説明で、聞き返しが減る
よくある声
- 毎日同じ説明をしているので、早口で一続きになる
- 大事な言葉(日付・時間・持ち物・飲まないもの)が、ほかの言葉と同じ強さで流れる
- 高齢の患者さんに「大きな声」で話そうとして、声がきつく聞こえる
直したあとの声
- 一文を一息で言える長さに切る(目安は「、」まで)
- 大事な言葉の前で1秒止め、その言葉だけ少しゆっくり言う(「明日の朝は、(間)何も食べずにお越しください」)
- 大きさではなく「低さとゆっくりさ」で聞き取りやすくする。声を張ると高くなり、きつく聞こえます
1分の練習(2人1組)
- 院内でいちばん多い説明(例:検査の前の注意)を、一文ずつ区切って紙に書く。
- 大事な言葉に丸を付け、その前で1秒止めて読む。
- 聞く役は、聞き終わった後に丸の言葉だけを言い返す。全部言えたら合格。
場面3 電話:顔が見えないぶん、声だけで印象が決まる
よくある声
- 忙しい時間の電話で、第一声が低く平らになり、不機嫌に聞こえる
- 保留の前後に声の調子が変わり、「後回しにされた」と感じさせる
- 予約の変更・お断りの場面で、語尾があいまいに消える
直したあとの声
- 受話器を取る前に口角を上げ、第一声の「お電話ありがとうございます」だけ少し明るく
- 用件を受けたら、相手の言葉を一つ繰り返してから答える(「来週の火曜日のご予約ですね」)
- お断り・変更は、語尾を下げてはっきり言い切ってから、代わりの案を一つ出す
1分の練習(全員で・座ったままで)
- 口角を上げたままと下げたままで「お電話ありがとうございます」を録音し、聞き比べる(スマホで十分です)。
- 「申し訳ございません、その日は埋まっております。(間)木曜日の午前でしたらお取りできます」を、語尾を下げて言い切る。
- 保留の前と後で、同じ高さの声で話す練習を1回。
| 場面 | 1分の練習 | 何人で |
|---|---|---|
| 受付 | 3秒吸って6秒吐く→3段の高さで「おはようございます」→苗字の最初の音を立てる | 全員・立って |
| 説明 | 一文ずつ区切る→大事な言葉に丸→その前で1秒止めて読む | 2人1組 |
| 電話 | 口角を上げる・下げるで録音して比べる→語尾を下げて言い切る | 全員・座って |
50分の研修では、何をするか
病院・クリニック向けの研修は、50分の基本形で次のように進めます(内容は病院ごとにご相談のうえで決めます)。
- はじめの10分:声が相手にどう聞こえているかを知る(全員で同じ一言を言い、聞こえ方の違いを体験)
- 中の30分:受付・説明・電話のうち、病院でいちばん困っている場面から順に練習
- おわりの10分:明日から使う「1分の練習」を一人ひとつ決めて持ち帰る
対象:受付・医事課・外来の看護師・病棟・電話の窓口・事務の方など。数名〜200名まで、オンラインでも行えます。交代勤務で全員が集まれない場合は、同じ日に同じ内容をもう1回行う形もあります。
費用の目安
- 50分で25万円(税別)から。人数・回数・会場・オンラインか対面かで変わります。
- 同じ日に同じ内容をもう1回行う場合は、2回目が15万円(税別)から。
- 遠方での実施は、交通費・宿泊費を実費でいただきます。
くわしくは病院・クリニックの接遇と「声」の研修をご覧ください。院内で稟議に回す資料はご検討用の資料を、依頼から当日までの流れは研修の外部講師、問い合わせから当日までの流れをお使いください。
よくある質問
接遇研修はもう毎年やっています。何が違いますか?
言葉づかいや所作の研修とぶつかりません。その手前の「声の高さ・速さ・間・語尾」だけを扱うので、今の接遇のマニュアルはそのまま使えます。
医師や看護師も一緒に受けられますか?
はい。受付・説明・電話のどの場面に多く関わるかで、練習の組み合わせを変えます。職種ごとに分けて行うこともできます。
交代勤務で全員がそろいません。
同じ日に同じ内容をもう1回行う形(2回目15万円〈税別〉から)や、オンラインで行う形があります。
研修の効果はどう確かめますか?
研修の前と後に、同じ一言を録音して聞き比べるのがいちばん分かりやすい方法です。ご意見箱や電話の聞き返しの数など、病院で今とっている記録があれば、それと合わせてご覧ください。
病院の名前を出さずに相談できますか?
はい。最初のご相談は、病院名を伏せたままでもかまいません。
ご検討中のご担当者へ
社内で決めるための材料と、始め方を、ここから。
上司・経理に回す資料も、よくある質問も、このサイトでそろいます。人数とご予算に合わせて、始め方を選べます。
- ご検討用の資料(A4・2ページ。印刷・PDF保存できます)
- 料金・支払い・キャンセル・助成金のよくある質問
- 「声の研修」とは(話し方研修・マナー研修との違い)
- 2027年4月の新入社員研修 早期申込(12月18日まで)
お急ぎの場合は LINE(AtoNO Records) からもどうぞ。